【完全版】終身保険のすべてのパターンとそれぞれの特徴 – アクチュアリーが解説

終身保険のすべてのパターン基礎知識

保険業界でアクチュアリーとして働いていた筆者が、終身保険の種類とそれぞれの特徴について解説します。

すべてのパターンを知らずに購入を決めてしまうともしかしたら損をしてしまうかもしれません。

是非終身保険のすべての種類を把握したうえで、後悔しない保険選びに役立てて頂ければと思います。

終身保険とは?

終身保険とは死亡した場合、または高度障害になった場合に保険金が支払われる生命保険です。

保険期間は被保険者が亡くなるまででこれが「終身」と呼ばれる理由です。人はいつか死にますので、解約しなければいつか必ず保険金が支払われます。

単に終身保険といった場合は保険金額は保険期間にわたって一定で変わらないものを指します。保険期間によって変わる場合は単に終身保険と呼ぶことはなく、逓増終身保険や変額終身保険といった別の呼び方をします。

広義にはこれらも終身保険と呼ばれることがありますが、通常は保険金額が一定で一生変わらない生命保険のことを言います。

なお、高度障害とは何かについては以下の記事で解説をしています。

終身保険の種類の一覧

ひとくちに終身保険といってもさまざまな種類があります。いくつかの分類がありますのでそれぞれについて解説をします。

短期払型と終身払型

まず代表的な分類は短期払型と終身払型です。これは保険料の払い方による分類で、短期払型は保険料の払込が特定の年齢で終了するタイプで、終身払型は一生涯保険料を払い続けるタイプです。

なお、契約と同時に保険料を全額払い込む一時払は短期払の最も極端なタイプとご理解ください。

払込期間が短くなればなるほど保険料は高くなっていき、より貯蓄性が高まっていきます。

円建と外貨建

次に代表的な分類が通貨の種類です。

外貨建終身保険は払い込まれた保険料を外国の通貨建で運用する保険です。安定的な通貨である米ドル建や豪ドル建、ユーロ建など円に対して値動きが比較的安定している通貨を選んで加入できます。

日本は現在超低金利のため終身保険のような長期の保険でも高い予定利率を設定することには限界があります。

一方で外貨であれば相対的に高い長期金利が付与されている場合がありますので、為替変動を無視すれば払い込んだ保険料に対して大きな保障を得ることができます。

しかしこの為替の変動は多くの場合無視できません。安定している通貨を選択しているとはいえ予定利率以上に変動することが多くあります。

当局も外貨建保険の販売について注意喚起や規制強化をしているところですが、その理由は為替リスクによって意図せず損をしてしまう方が多いためです。

もちろん保険会社側にも説明責任があるわけですが、損をしてからお金が戻ってくることはないと考えて、自己防衛をする必要があります。

ですので外貨建保険を購入する場合は、ドルコスト平均法などの外貨投資の手法を学ぶことや、過去の為替チャートなど参考に保険料の払込方法と資産の残高の関係をシミュレーションしてみることをお勧めいたします。

通常型と低解約返戻金型

解約した際に解約返戻金があるかどうかでも終身保険を分類することができます。

解約返戻金が少ないタイプを低解約返戻金型といいます。解約返戻金が少ない場合は誤解のないように低解約返戻金型と表記しないといけませんので、この表記がない場合は解約返戻金がある通常のタイプの終身保険ということになります。

低解約返戻金型の終身保険の解約返戻金は、多くの場合通常の終身保険の70%に設定されています。また、これも多くの場合解約返戻金が低く抑えられているのは保険料払込期間中のみで、保険料の払い込みが完了したら通常の終身保険と同じ水準になります。

終身保険は保険料のうち積み立てておく部分が多いため、それを30%削減するだけでも保険料の水準に大きな影響があります。このため、保険料だけを見ると低解約返戻金型の方が魅力的に映るかもしれません。

しかし保険料の払込期間が長くなると、その間に経済状況が変わり解約が必要になる場合もあり得ます。このため、保険を解約しなくてはならないほどお金に困ることが将来あり得るのかについて、よく考えたうえで低解約返戻金型を検討することをお勧めいたします。

通常型と利率変動型

利率変動型とは、定期的に予定利率が見直されていくタイプの終身保険です。

このタイプの保険は銀行預金に死亡保障を付けたようなイメージをするとわかりやすいかもしれません。アカウント型やユニバーサルライフ型などと呼ばれたりすることもあります。

まるで銀行にお金を預けたり引き出したりするように、保険料を追加で払い込んだり引き出したりすることができます。さらに、その払い込んだお金で医療保険を購入したりすることもできます。

このため、銀行の利息と同じような感覚で予定利率も変わっていくといった商品になります。

このタイプの商品は通常の終身保険とは加入する目的が異なることが多いかと思いますので、しっかり区別して検討する必要があるでしょう。

なお、利率変動型と似たような名前で利率更改型という商品もありますが、この多くは保険金額が増加するようなタイプで利率変動型とは異なる商品です。この保険金額が増加するようなタイプの商品は別途記事を作成する予定です。

通常型と引受基準緩和型

引受基準緩和型とは持病があっても一定の基準をクリアすれば加入することができる保険です。限定告知型などと呼ばれることもあります。

持病がある人のための保険ということになりますので保険料は高くなります。このため、通常型に加入できる人はこのタイプについて真剣に検討をする必要はありません。

まとめ

終身保険には上記のようなさまざまな種類があります。

2つの型×5つのパターンがありますので、理論的には10種類あることになります。しかし、10個すべての種類の商品が常に販売されているわけではありません。特に終身保険は貯蓄性の高い商品が多いため、市場環境によっては売り止めになっているケースも珍しくありません。

このように市場の変化の影響も受けやすい終身保険を選ぼうとしたときにどれがじぶんに合っているのか、どういった基準で損得を判断すべきなのかがわからなくなることがあるかもしれません。

そういった今まさに終身保険を検討されている方向けに、終身保険の選び方についてチェックリストなどを用いてわかりやすく解説しているページもご用意しております。

是非こちらもご参考にして頂ければと思います。

近日公開予定

また、その他の保険の種類についても解説をしているページを設けていますので、是非そちらもご覧いただければと思います。

  • 定期保険
  • 収入保障保険
  • 養老保険
  • 変額保険
  • 逓増定期保険と逓増終身保険
  • 医療保険① 入院保障
  • 医療保険② 手術保障
  • がん保険
  • 就業不能保険
  • 障害保険
  • 介護保険
  • 認知症保険

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