【完全版】収入保障保険のすべてのパターンとそれぞれの特徴 – アクチュアリーが解説

基礎知識

保険業界でアクチュアリーとして働いていた筆者が、収入保障保険の種類とそれぞれの特徴について解説します。

すべてのパターンを知らずに購入を決めてしまうともしかしたら損をしてしまうかもしれません。

是非収入保障保険のすべての種類を把握したうえで、後悔しない保険選びに役立てて頂ければと思います。

収入保障保険とは?

収入保障保険とは死亡した場合、または高度障害になった場合に保険期間満了まで一定額の年金が支払われる生命保険です。

保険期間が一定期間の死亡保障商品のため、広い意味では定期保険の仲間です。

保険期間満了までの年金ということになりますので、契約から時間が経つにつれてもらえる年金の合計は減っていきます。

例えば30歳で加入した60歳満期の収入保障保険で月額10万円のプランの場合、40歳で亡くなると残り期間が20年間のため2,400万円もらえますが、50歳で亡くなった場合は残り期間が10年のため1,200万円しかもらえないということになります。

また、年金は通常一括請求できるため、数理的には逓減定期保険と同じものとみなすことができます。

収入保障保険は家計保障定期保険や家族収入保険など各社によって愛称が異なります。

なお、名前が似ている就業不能保険はまったく別のものです。就業不能保険は働けなくなったときに年金が支払われるもので、死亡した場合に年金が支払われる保険ではありません。

収入保障保険の種類の一覧

ひとくちに収入保障保険といってもさまざまな種類があります。いくつかの分類がありますのでそれぞれについて解説をします。

通常型と無解約返戻金型

まず解約した際に解約返戻金があるかどうかで収入保障保険を分類することができます。

解約返戻金がないタイプを無解約返戻金型といいます。解約返戻金がない場合は誤解のないように無解約返戻金型と表記しないといけませんので、この表記がない場合は解約返戻金がある通常のタイプの収入保障保険ということになります。

解約返戻金がないタイプは途中で解約してもお金がもらえません。その分保険料は安くなるはずですが収入保障保険の場合はそれほど大きく変わりません。

絶対に解約しないなら無解約返戻金型の方が良いというのは間違いないですが、解約返戻金の有無よりも次のリスク細分型の方が保険料に効いてきますので、この部分にあまりこだわるる必要はないでしょう。

通常型とリスク細分型

リスク細分型とは、被保険者の生活習慣や健康状態によって保険料が変わるタイプの収入保障保険です。

生活習慣によって保険料が変わる代表的な例としては喫煙状況による区分が挙げられます。タバコを吸わない人はタバコを吸う人よりも死亡率が低いということは多くの研究で明らかにされていますので、タバコを吸わない人向けの安い保険料プランがある収入保障保険に入った方が良いです。

他にも損保系の生命保険会社が扱っている優良ドライバー割引プランなどもありますので、運転免許がゴールドの人は調べてみることをお勧めします。

健康状態によって保険料が変わる例としてはBMIや血圧による区分が挙げられます。BMIは高すぎても低すぎても健康とは言えませんので、BMIが18から27の間など所定の数値の範囲内の方であれば安い保険料の適用を受けられるかもしれません。

血圧も同様で高いほど死亡リスクが高まることがわかっていますので、収縮期血圧が140mmHg未満などの所定の数値より小さい方であれば安い保険料の適用を受けられる可能性があります。

このタイプも安い保険の基準をクリアしている人ならリスク細分型の収入保障保険に加入した方が良いことは言うまでもありません。

保険料定額型と保険料逓減型

収入保障保険には保険料が減っていくタイプの商品を選べる場合があります。収入保障保険は受け取れる年金額が減っていくため、それに合わせて保険料が減っていくのは一見合理的に見えます。

しかし収入が少ない若いうちに大きな保険料を払うというのは、家計の観点からはあまり合理的と言えないでしょう。

特に大きな理由がなければ定額の保険で問題ありません。

最低保証期間2年のタイプと5年のタイプ

収入保障保険は通常保険期間の最後に最低保証期間が設けられています。これは保険期間が最後の方になってくると、これまで払った保険料と年金の総額のバランスの納得感が薄れてくるからです。

例えば60歳満了の収入保障保険に30歳から加入していて、59歳11ヶ月でお亡くなりになったとします。保険期間は60歳までですので、最低保証期間がないと年金は1ヶ月分しかもらえないということになってしまいます。29年以上保険料を払ってきて、1ヶ月しかもらえないというのは納得できませんよね。

こういった背景から、59歳11ヶ月で亡くなった場合でも最低でも2年間または5年間年金をお支払いするという収入保障保険独自の仕組みが生まれました。

最低保証期間が短い方が保険料は安いですので、これも大きな理由がなければ2年の方を選ぶことで問題ないでしょう。

通常型と引受基準緩和型

引受基準緩和型とは持病があっても一定の基準をクリアすれば加入することができる保険です。限定告知型などと呼ばれることもあります。

持病がある人のための保険ということになりますので保険料は高くなります。このため、通常型に加入できる人はこのタイプについて真剣に検討をする必要はありません。

しかし、通常型の中でも健康状態によってはプラスで保険料を払うことを保険会社から提案されることがあります。この場合は念のため他の会社の引受基準緩和型の保険料を確認してみても良いでしょう。

もしかしたらもう少し安い保険があるかもしれません。

まとめ

収入保障保険には上記のようなさまざまな種類があります。

2つの型×5つのパターンがありますので、理論的には10種類あることになります。しかし、10個すべての種類の商品が売られているわけではありません。例えば引受基準緩和型のタバコを吸わない人向けの保険などはありません。

しかしそれでも、いざ収入保障保険を選ぼうとしたときにどれがじぶんに合っているのか、どういった基準で損得を判断すべきなのかがわからなくなることがあるかもしれません。

そういった今まさに収入保障保険を検討されている方向けに、収入保障保険の選び方についてチェックリストなどを用いてわかりやすく解説しているページもご用意しておりますので、是非こちらも見てみてください。

近日公開予定

また、その他の保険の種類についても解説をしているページを設けていますので、是非そちらもご覧いただければと思います。

  • 定期保険
  • 終身保険
  • 養老保険
  • 変額保険
  • 逓増定期保険と逓増終身保険
  • 医療保険① 入院保障
  • 医療保険② 手術保障
  • がん保険
  • 就業不能保険
  • 障害保険
  • 介護保険
  • 認知症保険

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